今ではノートPCやDELL社製のパソコンの隆盛でやや廃れてしまった感がありますが、 日本でも一昔前に秋葉原の「自作」PC文化というのが流行したのを覚えている方も多いかと思います。この自作はアメリカの「DIY」(Do it yourself)という言葉を和訳したものです。
一般的にはパソコンはヤマダ電機やヨドバシカメラといった大手の家電量販店ですでに出来上がっているものを購入しますが、秋葉原のマニアはそうではなく、マザーボードやビデオカード、CPUクーラーに電源といったパーツを個別に買ってきて自分たちで組み立てます。自動車マニアの方でも同じように「カスタマイズ」をする方は多いと思いますが、さすがに自分で車そのものを組み立てるということはしません。パソコンそのものを組み立てるということは普通の人からすると想像もつきませんよね。
日本人と比較するとアメリカ人はこの「自作」が大好きなようです。それはやはり「個性」を重んじる風潮が影響しているのだと思います。
例えば、ファミリーレストランでの朝食の風景でも老夫婦が朝食のメニューにあれやこれやと注文をつけるのを見て驚いたことがあります。やれ卵はこういう風にして欲しいとか、ベーコンは要らないから違うのに替えてくれとか、サラダにはこれが必要ないとか。。。アメリカのチップの風習というのはこういう厄介な対応をすることに対する報酬なのかも知れませんね。
このDIY文化での代表的なものはアメリカ人にとって最も重要なものの一つであるマイホームです。日本のそれに比べるとアメリカの家屋の造りは質素というか短調で簡易的なものに見えます。しかし、それは逆にいうと実際に住む住人が簡単に改造できるようにという思惑があるということも言えます。費用節約のために大工さんに頼まず、住人がちょっとした改修するという光景もよく見かけます。
このような文化は必然的に商業的な需要をもたらします。そこでみんなが利用するお店の代表的なものが「HOME DEPOT」(ホーム・デポ)です。バカでかい敷地に所狭しと工具やらネジやら、あるいはフローリングにカーテン、照明や植物に肥料にいたるまで、ありとあらゆるものが置いてあります。もちろん、一般人だけではなく、大工さんたちも訪れます。
ホームデポの店内にはところ狭しとDIYホーム用の製品が並ぶ
これを見るたびに本当にアメリカ人はDIYが好きなのだなぁと思っているのですが、これは飲食店でも同じようなものがあります。日本にも進出しておなじみのサブウェイではサンドイッチのパンや具、調味料を自由にカスタマイズして自分向けの一品を作ることができます。
最近アメリカで流行り始めているのがカスタムバーガー屋さんの「
COUNTER」です。このお店では、なんとハンバーガーをかなり細かく注文して自分だけのハンバーガーを作ることができるのです。もちろんお客さんは注文するだけで、実際に作るのはお店の人なのですがここにもDIYを好む風景が感じられますね。(そういう点では実際に自分でつくるお好み焼きはアメリカで流行る可能性があるのかも知れません。自分で調理したいかどうかは別ですが)このお店の売りはそれだけだはなく、素材にもあります。
COUNTERの店舗 (カリフォルニア州 スタジオシティ)
オーダーシート 細かいメニューでお好みのハンバーガーを!
COUNTERは西海岸発。まずカリフォルニアに20店舗以上、それからコネチカット、フロリダ、ハワイ、テキサス、そしてニューヨークと東海岸にもどんどん展開しています。海外ではアイルランドに二店舗オープンしました。
出来上がり例 見事ですね
このような文化はヨーロッパではまた少し違うように思いますが、アメリカに進出することを検討されている企業の方には知っておいて頂きたい文化です。実際に海外にビジネスを持ち込む際には現地の文化や風習に合わせて製品やサービスを「カスタマイズ」することをお忘れなく!