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  • 2012.06.06 Wednesday
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フェイスブック上場劇の顛末

2012年5月18日はIT界にとって記録すべき日となりました。いよいよフェイスブックが上場を果たしたのです。
IT業界の寵児はわずか28歳。上場日にかねてから交際中だった彼女との交際ステータスが結婚に変わると100万以上のいいねを集めました。まさに幸福の絶頂にあったといっても過言ではないでしょう。



ところが株価の方は意外に振るいませんでした。最高値は45ドルとなったものの、終値は38.23ドルと新規公募価格をわずかに上回る程度。
参考記事:フェイスブック上場 初日の終値は38.23ドル

市場からはきなくさい声も聞こえてきます。幹事証券会社であったモルガン・スタンレーらの機関投資家はまだ公表されていなかった決算報告に関する数字から、株価はすぐに下がると判断し、フェイスブック株(FB)が上場するやいなや、空売りに転じたというのです。

全米を震撼させたサブプライム騒動の舞台裏を描いたマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画、「キャピタリズム〜マネーは踊る〜」では消費者の弱みにつけこんだ金融業界のハイエナぶりと、何も支配権をもっていない一般消費者の弱さを描いています。

今回のフェイスブック上場でも損をしたのは、事情をよく知らなかった一般投資家だけだったのかも知れません。フェイスブックの上場は世界中の大手メディアがこぞって取り上げました。

上場で得た資金をもとに、フェイスブックはどんな攻勢に売ってでるのでしょうか。従来のオンラインコマース(Eコマース)という言葉に対してFコマースという言葉まで生み出した世界最大のソーシャルネットワーク(SNS)、もうすぐ10億に手が届こうかという規模の巨大経済圏に成長したフェイスブックの今後の動きに世界の注目が集まっています。


突然お洒落に変身したJCペニーは米国小売業界2012年の目玉!?

先日近くのJCペニーを訪れ、前と何だか雰囲気が違ったなと思ったら、年明けにこんなニュースが出て話題になっていたことを思い出しました。

JCペニーはRobinson MayやTargetと並ぶ全米で1000店舗を有する巨大デパートチェーンです。ジェームズ・キャッシュ・ペニーという人物によって、ワイオミングで開業しました。日本でいえばイトーヨーカドーやイオンみたいなもの。不況にあえいでいるのは、どこの業界もそうですが、デパートといえば小売業界のメッカ、抜本的な対応なくして復活などあり得ないという機運があるのでしょう。

それにしてもJCペニーといえば、以前は、「アメリカ中西部のおばちゃんの典型的な服装を美人モデルが野暮ったく着こなす」という広告のイメージがありました。いわゆるクラシックなアメリカという感じ。それが、マーサ・スチュワートと共同のブランディングを行うなど、イメージを刷新してきているのです。これには、多くのアメリカ人もいい印象を持っている様子です。


ずいぶんお洒落になった広告

どうやら、今回の「イメチェン」の背景には大物の起用があったようです。新しいCEOの名前はロン・ジョンソン。実は彼は元アップルで、お洒落で大人気の アップルストアを立ち上げた張本人だとか。目標を大人気のターゲット(Target)に据えて、というのは何だか冗談みたいですが、新CEOはデパートこ そが小売業界復活の最大の希望だとして、全面的に経営を見つめなおす方針でいるようです。


新しいJCペニーのロゴ

新CEOによるイメージ刷新の運動が消費者の人気を得て、目論見通り America's Most Favorite ストアになるのかどうか、注目していきたいところです。

エコカーオーナーの再購買率、意外と低い

私が最初にアメリカに来たのは90年代半ばのことですが、その頃はガソリンは1ガロン(3.8リットル)あたり1ドルを切っていたました。(ドルは、今と同じような円高で90円を挟んで行ったり来たりという状態でした)

しかし、そんなことは今や遠い昔の話。ガソリンの値段の高騰は止まらず、最近のカリフォルニアでは、4.5ドルに迫る勢いです。ロサンゼルスでは、車なしには生活できないのでこのガソリン価格の高騰は人々を悩ませています。


(3月24日撮影)



カリフォルニア州の場合は、ガソリン税が高い、という事情もあり、全米平均よりもともと高め、という事情も。トヨタプリウスをはじめとする、エコカーの浸透率が高いのは頷けます。






ところが、最近の調査会社Polk社の発表で、エコカーの再高倍率が意外と低いとの結果が発表されました。ハイブリッド車オーナーの35%しか2台目の買い替え時にハイブリッドを選んでいない。ブランド忠誠度が高いプリウスを除くと25%と低水準です。

市場への浸透率も2008年の2.9%から2011年には2.4%にダウンしました。

今年米国トヨタは、新たにプリウスの商品ラインを拡大、より小型モデルとワゴン車を発売、勝算はいかに。日本企業の業績不振が続く中で、トヨタの躍進には日本人としても注目しています。

ファーストフードチェーンも参入、カフェ市場

日本で「アメリカン」と言えばコーヒーの代名詞というくらい、アメリカ人はコーヒー好きという印象があります。
しかし元々欧州や日本には長い間存在した、コーヒーを中心とする「カフェ」市場は、実はアメリカではスターバックス(開業は1971年シアトルにて。テイクアウトとエスプレッソを中心とした現在の形態になったのが1986年)登場以来と、歴史はそう長くありません。ちなみにファーストフードの雄、マクドナルドはカリフォルニア州のサンバーナディーノにて1940年に第一号店が開業しています。

コーヒーハウスチェーンに加え、近年マクドナルドもマックカフェで、グルメコーヒー飲料を中心としたカフェ市場に力を入れているが、これにバーガーキングなど、他のハンバーガーチェーンも参入中です。


米マクドナルドのウェブサイト上の商品案内。清涼感たっぷり


2007年に日本再進出を果たしたバーガーキングは Seattle's Best Coffee というグルメコーヒーを提供しています。すでに大成功を収めているスターバックスのコーヒーよりも、安価な類似品を提供することで、消費者への訴求力を強くしています。アメリカでは日本ほどデフレ感が強くはないのですが、この不況下では価格はやはり大きなセールスポイントです。アメリカ人は大のコーヒー党が多いので、コーヒーの味に拘る方が多いようです。
また、全米の多くのマクドナルドではWiFiが無料で使えるようになっているなど、競争力向上に力を入れています。商品の多角化、付加価値的サービス、徹底した価格的訴求力、というのが競争の柱となっているのは、何もアメリカに限ったことではありません。
日本でも、牛丼から豚丼、朝の定食の拡充、安価な価格設定などでしのぎを削っている和食ファーストフード店吉野家と松屋などの価格競争が、これに似ています。



バーガーキング内のコーヒーについての看板


ただ、クリームと砂糖たっぷりのコーヒー飲料はカロリーもたっぷり、一杯で500カロリーまであるのでご注意を。ちなみにアメリカの大手フランチャイズ飲食店では製品のカロリーなどが全て公開されている。スターバックスの製品についてはコチラをご参照ください。
私はアメリカ暮らしが人生の半分くらいになりつつありますが、無料でいくらでもおかわりができるソーダや、砂糖たっぷりのコーヒーに子供たちを慣れさせるのにはやはり抵抗があります。小児糖尿病が多いのもアメリカ社会の問題の一つですので、また機会があればそれらも取り上げたいと思います。


米国家電量販最大手ベストバイの未来

4月10日に流れた米国最大手家電量販店チェーンCEOの辞任劇は世界を駆け巡りました。
ベストバイ、前CEOの会社資産流用疑惑を調査=関係筋

当初取締役会は勤続28年のブライアン・ダン氏の「個人的な言動」に注目してきたとされていましたが、少しずつ情報が明らかになってきているようです。その内容については、こちらでは触れずにおきますが、ベストバイとえばその座はゆるぎもしない全米大手の家電量販チェーンです。これまでにも、サーキット・シティやCOMP USAなど競合を軒並み蹴散らしてきた彼らも実は、最近業績が思わしくないとされています。一説では、先日経営破綻した書店第二位のボーダーズの次に危ないとも言われているようです。



これらの背景には、インターネット誕生後に変化し続けてきた消費者の行動、不況に伴う小売市場の変化という点で、書店業界と家電小売業界の状況はよく似ているという事実があると思います。オンラインでは書店業界にはアマゾン、そして家電にはアマゾンや、タイガーダイレクト、ニューエッグなどの競合が存在します。そして、リアル店舗では、バーンズアンドノーブルとボーダーズはしのぎを削り、新作書籍の価格ダンピングが話題になりました。

一方ベストバイはウォルマートやコストコ(Costco)、ターゲットなどとチャンネルで競合しています。不況は過当な価格競争を生みます。リアル店舗では王者のベストバイでは、商品価格はやや高めに設定されていても、実際に物を手にとってみたい消費者はそれを受け入れるしか無いという構図が成立していました。しかし、インターネットで簡単に価格を比較できる昨今では、店舗で商品を見ても、購入はアマゾンでという方が少なくありません。またベストバイは自社ブランド品をメーカー製品と競争させるというショップブランド戦略(これは薬なども含め、ターゲットなどもよく行なっています)や、極端に遅い支払い制度は商品を納品するベンダー泣かせだと言われてきました。

ベストバイ
ロサンゼルス郊外のベストバイ

ベストバイは店舗閉鎖などのコスト削減策を打ち出していますが、本当に必要なのはビジネスモデル自体そのものの見直しなのかもしれませんね。そんな最中のCEO辞任劇は、株主だけでなく消費者の注目も大きく集めています。日本では依然家電量販店大手が合併を繰り返したりしながら、競争をしている背景がありますが、日米での生活慣習やネット習慣の違いなどを比較しつつ、日本ではどういう未来が待っているのかを推察してみるのもいいかも知れませんね。

世界を揺るがすTED Talk とは!?

皆さんは TED という言葉をご存知でしょうか?といっても、これは米大手航空会社ユナイテッド航空のニックネームではありません。(そちらもTEDなんですが)

TEDというのはTechnology Entertainment Design の略語で、それらをテーマにしたスピーチフォーラムです。TEDは非営利団体によって運営されていて、スピーチや会合を通して優秀なアイデアを世界に広め、啓蒙し人々をつなげる活動を行っています。運営しているThe Sapling Foundationの創設者はクリス・アンダーソン氏。

TEDの看板イベントであるTED Talkは毎年一回主にカリフォルニア州のロングビーチで開催されます。"Ideas Worth Spreading" (拡散するにふさわしいアイデア)というテーマをもとに、スピーカーが規定された短い時間(5〜18分)で質の高いプレゼンを行います。フォーマットは特に規定されておらず、エンターテイナーが出た場合は音楽を演奏したり、ダンスパフォーマンスなどを披露したりということもあります。
スピーチフォーラムと聞いてもピンと来ない方が多いかも知れませんが、これはただのスピーチというよりも視覚的・聴覚的な要素がかなり入ったプレゼンで聴衆も退屈することなく聴き入ることができます。

TEDのBrain Trust(相談役)にはGoogleの両創業者やアマゾンCEOのジェフ・ベゾスなども名を連ねており、過去のスピーカーにはスティーブジョブズやビルゲイツ、アル・ゴア、ボノ(U2)などといった世界的な著名人が含まれていて、彼らはTEDのビジョンとコンセプトに共鳴して、無償でステージに立ちます。

TEDのプレゼンはスピーカーのレベルもさることながら、その質が非常に高いことで有名です。これらは動画共有サイトのYouTubeでほぼすべて公開されていますので誰でも閲覧することができます。観客は数千ドルという高額の寄付をして、その席を得るのですから聴き入る姿勢も真剣そのものです。今年のTED Talkでは日本人としては初めて脳科学者の茂木健一郎氏がスピーチをして話題になりました。


TED公式サイト

TED 公式サイト
日本語に翻訳されたコンテンツは下記のリンクにまとめられています。
TED Talks in 日本語

実はこのTEDには本体のTED TALKとは別のTEDxという独立系のイベントがあります。これらはそれぞれ別のテーマで、独立して運営されるイベントです。本体のTED Talkに触発されて、世界中には数多くのTEDx系イベントが存在します。日本でも4年程前から、二人のアメリカ人のキュレーターによって、TEDxTOKYOというイベントが開催されてきています。私も2010年のTEDxTOKYOには聴衆として参席しました。今年のTEDxTOKYOは6月30日に開催されることがすでにアナウンスされています。

TEDxTOKYO公式サイト

最近では日本でも社会起業家やノマドワーカーという言葉が若者の間で浸透してきているようです。これまでは成功というとどうしてもお金持ちというイメージがつきまといましたが、最近では世界を変革しようとするビジョンを支える動きが大きいように思います。このような潮流を生み出した一つのムーブメントがこのTEDであり、TED関連のビデオはハーバードなどのアメリカ有名大学の授業よりも価値があると評価する向きも大きいほどです。
また聴衆も耳が肥えているので、ちょっとやそっとのプレゼンでは拍手喝采という状況にならず、最大級の賛辞とされているスタンディング・オベーション(総立ちの拍手喝采)を得られるスピーカーは稀で、最大の栄誉だとされています。

最近ではフェイスブックやグーグルの創業者、一昔前ではビル・ゲイツやスティーブジョブズといった大起業家が世界的な大成功を収めたのは、彼らに世界を変えようという強い動きがあったからだと思います。TEDによって、人々は崇高なビジョンが何であるのかということについて、何となく共通の理解を示してきているようです。逆に言えば、世界に進出するビジネスモデルを思い描こうとした際には、TEDのスピーカーに負けないような大きなビジョンをもっているものでないと難しくなっているのかも知れません。素晴らしい講演がいくつも上がっていますので、ぜひ一つか二つご覧になって頂きたいと思います。

<関連記事>
【すごいプレゼン】TEDを初めて見る人におすすめの10本

日本で躍進するHULUに学ぶ海外進出への勝機

 皆さんはHULU(*フールーと発音)というサービスをご存知でしょうか?

HULUはアメリカで大人気のインターネット動画視聴サービスです。
これまではネット上の動画視聴サービスや動画の共有サービスというと、とかく違法アップロードの温床になっていた感があります。実際、今年の1月にはファイル共有サービスでは大手のメガアップロード社が、FBIによってサービスと資産を差し押さえられてしまうという事態が発生し、アメリカのみならず世界中のネット関係者を驚かせました。理由は著作権違法違反です。(米史上最大級の著作権侵害摘発!FBIがMegaupload閉鎖、運営者8人を逮捕

メガアップロード
メガアップロードのトップページはFBIによって差し押さえられた

インターネットやデジタルメディアの普及により、広告収益は減少傾向にあり、テレビや映画などのコンテンツがネット上でも廉価、あるいは無料で見られるようになりました。私が小さい頃はVHSのビデオ一本で14800円とかしてたものですが、もうコンテンツにそんな値段を出す人はいませんね。

アメリカでもタブレット端末やスマートフォンなどの普及により、インターネット経由で動画を見たい人の数は飛躍的に増えています。これに対してREDBOXなどの自動販売機型レンタルビデオサービスが売上を伸ばしており、従来のブロックバスターのようなレンタルビデオ店舗は影を潜めています。

そんな中で業績をじわじわ伸ばしてきているのが、HULUです。HULUは立ち上げ当初から一貫して、正規ライセンスのあるコンテンツのみを提供してきました。競合サービスはJOOSTなどを含め、いくつかありましたが、結局市場競争を制したのは正規ライセンス作品と有料制にこだわったHULUだったのです。



HULU
HULUのトップページ

このHULUは昨年9月から日本にも上陸してきています。
最初の1ヶ月は無料、それ以降は1,480円で映画や米人気テレビ作品などが見放題となっています。日本での立ち上げ交渉はかなり時間がかかっていたようですが、最終的には日本がこれに参加したことで、海外の視聴者もHULUで日本の作品を視聴できるようになりました。

このHULUの素晴らしいとこらはマルチデバイス対応だというところです。
PCだけではなく、今日本でも普及の目覚しいスマートフォンやゲーム機、タブレットなどでもアカウントを共有して視聴することができます。好きな作品を手軽にどこでも見られる便利さは多くのユーザーを虜にしているようです。また海外作品を多く見ることができるということで、英語の学習にもなると喜んでいる人々もいます。


HULUのマルチデバイス対応
HULUのマルチデバイス対応

電子出版ではアマゾンがキンドルという電子ブックリーダーを出して話題になりました。アップルはアイフォーンやiPad、Apple TVという製品で多くのユーザーを世界的に囲い込んでいます。ソーシャルメディアの世界ではフェイスブックやYouTube(現在はグーグルの参加)が勢いを伸ばしています。日本の企業が一昔前のように、世界に進出していく例は最近影を潜めているような気がしてならず、海外に住んでいると何だか残念に思うことが多いのです。
扱っているものが製品であろうとサービスであろうと、それぞれの分野で成功している企業から何を学んでいけるかが、内需縮小の日本依存から脱却して世界で市場を獲得できていけるかのカギだと思う今日この頃です。

フェイスブック上場に見るアメリカ起業家のスケール感

 世界で8億人近いユーザーを抱えるとも言われているソーシャルネットワーク(SNS)の世界最大手であるフェイスブックが上場申請をしたことが話題になっています。
若き天才、のぞく野心 フェイスブック、上場申請(朝日新聞)

創業者のマーク・ザッカーバーグはまだ27歳。映画「ソーシャルネットワーク」でその起業にまつわるエピソードが紹介されているのをご存知の方も多いと思います。このザッカーバーグ氏は公開申請に際して、米証券取引委員会に書簡をしたためたそうです。その中にあるこのメッセージが読むものの心を打ちます。

「フェイスブックは、もともと『企業』になるためにつくったわけでない。世界をより開かれた、よりつながりの強いものにする社会的な使命を達成するために設立したのだ」

これは、フェイスブックだけに限ったことではないですが、北米ではIT関連のスタートアップ企業が乱立していて、VC(ベンチャー・キャピタル)などからの資金調達を競っていますが、アメリカのVCはよく「ビジョンに投資をする」と言われています。まだうら若きグーグルの創業者にポンと10万ドルの小切手を渡したエンジェル投資家の存在が、今や世界的大企業となったグーグルの誕生を支えました。よって、近年ではビジネスプランそのものよりも、その経営者がもつビジョンの大きさを競うような事態にも発展しています。ハーバード大学在籍時に立ち上げたサービスを世界一のものに成長させた、ザッカーバーグ氏のビジョンはやはり大きなものだったと言わざるを得ません。これはIT業界における成功の先駆者であるビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズらによっても、成功の王道として示されてきました。

ここで業績についても初めて公表されています。2011年の売上高は前年比2倍近い37億1100万ドル(約2950億円)、純利益は前年の1.6倍の10億ドル(約795億円)は堂々たるものです。時価総額は、1000億ドルとも推定されています。これは現在の為替レートでは日本では例えば一位のトヨタと二位のドコモの間に位置する規模になりますが、円安だったら一気に日本一の規模になる可能性すらあります。

最近は日本でも、IT系を中心にノマドと呼ばれる自由なワーキングスタイルで起業をして、世界進出を目論む若者も増えてきました。彼らはアメリカを行脚してエンジェルや投資家にあったり、テック系のイベントに参加するなどして盛んにビジネスチャンスをアピールしています。私もそんな若い日本人起業家のプレゼンに触れる機会が多くあります。残念ながらまだまだそのビジョンは世界規模のものとは言いがたい場合が多いですが、私が若かった頃とはまったく違うスキルとグローバル・マインドには驚嘆させられることがあります。

もちろんITに限らずとも、まだまだ世界を狙える日本企業は多いと思いますし、これから人口が減少して国内市場も縮小していく日本の企業にとっては、海外に活路を見出すことは死活問題に発展する可能性が十分にあります。
海外を目指す企業の皆さまには、ぜひともこのマーク・ザッカーバーグの手紙をご一読頂くことをオススメいたします。


伝記も人気です。



アメリカに進出する秋葉系文化(アニメ、コスプレ)

 日本に出張してくる度に、毎回顔を出したくなるのが秋葉原。昔は電気街というイメージが強かったですが、今やそういう色はかなり薄くなりましたね。時代に合わせてめまぐるしく変わっていく秋葉原の街を見ることで、流行に敏感な日本の社会の一端を垣間見ることができます。

今でこそアニメ色やアイドル色がかなり強くなりましたが、秋葉系文化といっても、ゲームやマンガ、フィギュア、そして次作系PCと幅は広いものです。この中でも日本発のコンテンツの代表格はアニメとマンガ。最近ではMANGAが英単語として受け入れられるほどで、書店にいっても大きなマンガのコーナーがあります。日本で人気のONE PIECE(ワンピース)などはアメリカでも人気ですし、それ以外に侍がでてくるようなコンテンツも人気があります。

【多くのコンベンションが開催】
アメリカでは実は日本人が思うよりもはるかに多くのアニメやマンガ系のコンベンションが開催されています。一度調査したみたことがあるのですが、その数は全米で年間優に数百あってびっくりしました。その中でもロサンゼルスのanime EXPO (レポートはこちら)やサンディエゴのComic-Con、そしてNYのNew York Anime Festivalは特に有名です。
これらをレポートするために、日本人の起業家が専用の雑誌まで発行していたほどです。
(これはPOPJNEOといい、今ではウェブ版での運用となっています)
派手なメイクアップや衣装で個性を出すビジュアル系バンドも人気のコンテンツの一つです。

POPJNEO表紙
POPJNEOの表紙を飾る色鮮やかなコスプレイヤーたち

【コスプレ事情】
今日はちょうどハロウィーンですし、コスプレの話にも触れてみましょう。
コスプレというのはどちらかというと海外から日本に持ち込まれたものですね。
ゲームも、ファイナルファンタジーのような日本製RPG(ロール・プレイング・ゲーム)の美しいキャラデザインは世界中で受け入れられており、コスプレにも取り入れられています。

親日家の多いフランスではコスプレをしてカラオケ(これも日本発の世界的文化ですね)をするような大イベントが開催されているのをご存知の方も多いかと思いますが、アメリカにもいよいよ日本スタイルのメイドカフェに近いものが登場したとして話題になりました。
それがRoyalTです。私が住んでいるところから車で30分ほどのカルバー・シティというところにできました。もともとメイドカフェというとアンナミラーズが有名でしたが、どちらかというと日本風で逆輸入されたという格好です。(アメリカには他にもフーターズのような派手なコスチュームを売り物にしているお店もいくつかあります)

ROYALt
日本風のメイドカフェがアメリカに逆輸入されて話題に!?


他にも禅や着物、寿司など日本の文化で世界的に受け入れられているものも多くあります。
我こそは、という日本独自の質のよい文化をお持ちの企業はぜひとも続けて海外市場に挑戦して頂きたいと思う次第です。







アメリカを変える日本の文化事情

東洋と西洋という言葉でもわかるように、この二つの文化は両極端です。ビジネスで、東から西へ、あるいは西から東へと展開する際にはこの違いの意味というものをどれだけ理解できるかがカギだと思います。

しかし、これはお互いの文化がいつまでも相入れないというのとは違います。私が最初にアメリカに渡ったのはまだ19歳の時でしたが、それからアメリカにも多くの変化がありました。東洋の文化の中でも、特に影響を与えたのは世界第二位の経済大国という地位を築いた日本でした。例えば一昔前は日本製というと粗悪品のイメージが強かったのですが、しばらくしてそれは撤廃されます。トヨタやホンダ、ソニーといったモノづくりだけではなく、スシや豆腐、酒といった食製品にも大きな影響を及ぼしました。

今では韓国製や中国製におされつつある日本のメーカーですが、最近文化的に見直されている部分があります。それはエコ、つまり環境負荷の良い製品です。トヨタが誇るハイブリッドカーのプリウスはその代表的な例であることは疑う余地もないですが、それ以外に注目されつつある例を二つほどご紹介します。

一つは瞬間湯沸かし器、そしてとう一つはウォシュレット(温水洗浄便座)です。共に日本ではすっかりお馴染みのコンセプト製品ですが、アメリカで普及の兆しを見せているのは実はつい最近のことなのです。

【アメリカのプチ断水事情】
日本でもワンルームマンションや安めのビジネスホテルなどではユニットバスがあり、風呂とトイレが一緒になっているところがありますが、一般の家屋では別々になっているのはご存知の通り。ところがアメリカでは、依然バスとトイレは一緒にあるのが一般的です。バスタブに浸かるのではなく、シャワーが一般的なアメリカでは、風呂場はゆったりする場ではないのかも知れません。

日本人はアメリカにいても、日本と同じように湯船に浸かってゆっくり休みたいと考えるものですが、家族が多い場合は大きな問題に直面します。それはボイラーのお湯がなくなってしまうことです。アメリカの浴槽は背が低く、縦長な形をしているのでお湯が冷めやすくなっています。またもちろん追い焚きなんてできないので、日本のようにお湯を共有することができません。だから必然的に、お湯は毎回張り替えることになるのですが、そんな時にトラブルが起こります。ボイラーのお湯がなくなってしまうのです。

RINNAI社HPより
                                                 RINNAI社HPより

そうするとしばらくはぬるま湯か水しかでなくなります。日本ではまずお湯が出なくなるなんてことはないですが、アメリカではこれがしょっちゅう起こるので、我が家でも時間帯をうまく分散させるように工夫しています。そこに目をつけた日本の瞬間湯沸かし器メーカーが、日本人の住む高級住宅地を目がけて営業をしたところ、好評でこれが現地の米国人にも拡がってきています。海外からの進出ではよく文化を変える必要のあるものはタブーとされていますが、これは逆転をいうと当たればその分チャンスが大きいということです。アメリカではTankless Water Heater(タンク無しの温水器)という名称が用いられています。商品のコンセプトが一瞬でわかりますね。

【ウォシュレットの挑戦】
同じ例にウォシュレットがあります。日本ではすっかりお馴染みになったウォシュレットですが、アメリカでは普及がなかなか進みませんでした。しかし、最近ボーイング社の最新鋭の旅客機787に搭載されたり、一部の高級ホテルで導入されたりするなど、少しずつ人気の兆しが見えてきています。ウォシュレットは環境負荷も低く、一度使えば気に入る方も多いので、今後はアメリカの多くの場所で導入が進んでいきそうな気がしています。マドンナやレオナルド・ディカプリオといったハリウッドのセレブリティが日本でウォシュレットを利用してみて感動したというエピソードもあります。実はこのウォシュレット、もともとはアメリカで介護向けに開発されたものだったということはあまり知られていません。

私も一度この件について調査をしたことがあるのですが、実は導入を阻んでいたものは利用者とはまったく関係のない事情だったということを知りました。この手の製品は一般家屋よりも高級ホテルなどで導入がまずなされ、一般家屋に浸透することが多いと思うのですが、ウォシュレットを導入するのに一番の足かせとなっていたのは稼働するのに必要な電源だったのです。客室数百室という大きなホテルで、わざわざウォシュレットを導入するために便器周りにコンセントを追加するのには大きなコストがかかるのはご理解頂けると思います。
しかし、新しいホテルを建設する際には最初からそれを想定して準備することができます。

ウォシュレットが導入されているホテルの事例としてはハワイのロイヤル・ハワイアンやザ・カハラ、グアムのホテルニッコーなどが有名ですが、本土でもニューヨークのキタノ・ホテルや最近ロサンゼルスにオープンしたミヤコ・ハイブリッドホテルなどがあります。そして、いよいよ高級ホテルのメッカであるラスベガスでも、アリアという人気ホテルが導入したことで話題になりました。

 
                       アリアホテルに設置された例

文化の違う海外への売り込みというと、アフリカに靴を売り込みに行ったセールスマンが、誰も靴を履いていないのを見てショックを受けたが、もう一人は途方も無い潜在市場だと歓喜したという話がよく例に挙げられます。上記の二例は長い時間をかけて、徐々に浸透しようとしているものですが、一度動き出したら市場は拡大するのみ。本当によい製品であれば、どこの市場でも売れるという位の自信と投資が必要なのかも知れません。


*ウォシュレットはTOTOの登録商標です。




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