ファーストフードチェーンも参入、カフェ市場

日本で「アメリカン」と言えばコーヒーの代名詞というくらい、アメリカ人はコーヒー好きという印象があります。
しかし元々欧州や日本には長い間存在した、コーヒーを中心とする「カフェ」市場は、実はアメリカではスターバックス(開業は1971年シアトルにて。テイクアウトとエスプレッソを中心とした現在の形態になったのが1986年)登場以来と、歴史はそう長くありません。ちなみにファーストフードの雄、マクドナルドはカリフォルニア州のサンバーナディーノにて1940年に第一号店が開業しています。

コーヒーハウスチェーンに加え、近年マクドナルドもマックカフェで、グルメコーヒー飲料を中心としたカフェ市場に力を入れているが、これにバーガーキングなど、他のハンバーガーチェーンも参入中です。


米マクドナルドのウェブサイト上の商品案内。清涼感たっぷり


2007年に日本再進出を果たしたバーガーキングは Seattle's Best Coffee というグルメコーヒーを提供しています。すでに大成功を収めているスターバックスのコーヒーよりも、安価な類似品を提供することで、消費者への訴求力を強くしています。アメリカでは日本ほどデフレ感が強くはないのですが、この不況下では価格はやはり大きなセールスポイントです。アメリカ人は大のコーヒー党が多いので、コーヒーの味に拘る方が多いようです。
また、全米の多くのマクドナルドではWiFiが無料で使えるようになっているなど、競争力向上に力を入れています。商品の多角化、付加価値的サービス、徹底した価格的訴求力、というのが競争の柱となっているのは、何もアメリカに限ったことではありません。
日本でも、牛丼から豚丼、朝の定食の拡充、安価な価格設定などでしのぎを削っている和食ファーストフード店吉野家と松屋などの価格競争が、これに似ています。



バーガーキング内のコーヒーについての看板


ただ、クリームと砂糖たっぷりのコーヒー飲料はカロリーもたっぷり、一杯で500カロリーまであるのでご注意を。ちなみにアメリカの大手フランチャイズ飲食店では製品のカロリーなどが全て公開されている。スターバックスの製品についてはコチラをご参照ください。
私はアメリカ暮らしが人生の半分くらいになりつつありますが、無料でいくらでもおかわりができるソーダや、砂糖たっぷりのコーヒーに子供たちを慣れさせるのにはやはり抵抗があります。小児糖尿病が多いのもアメリカ社会の問題の一つですので、また機会があればそれらも取り上げたいと思います。


米国家電量販最大手ベストバイの未来

4月10日に流れた米国最大手家電量販店チェーンCEOの辞任劇は世界を駆け巡りました。
ベストバイ、前CEOの会社資産流用疑惑を調査=関係筋

当初取締役会は勤続28年のブライアン・ダン氏の「個人的な言動」に注目してきたとされていましたが、少しずつ情報が明らかになってきているようです。その内容については、こちらでは触れずにおきますが、ベストバイとえばその座はゆるぎもしない全米大手の家電量販チェーンです。これまでにも、サーキット・シティやCOMP USAなど競合を軒並み蹴散らしてきた彼らも実は、最近業績が思わしくないとされています。一説では、先日経営破綻した書店第二位のボーダーズの次に危ないとも言われているようです。



これらの背景には、インターネット誕生後に変化し続けてきた消費者の行動、不況に伴う小売市場の変化という点で、書店業界と家電小売業界の状況はよく似ているという事実があると思います。オンラインでは書店業界にはアマゾン、そして家電にはアマゾンや、タイガーダイレクト、ニューエッグなどの競合が存在します。そして、リアル店舗では、バーンズアンドノーブルとボーダーズはしのぎを削り、新作書籍の価格ダンピングが話題になりました。

一方ベストバイはウォルマートやコストコ(Costco)、ターゲットなどとチャンネルで競合しています。不況は過当な価格競争を生みます。リアル店舗では王者のベストバイでは、商品価格はやや高めに設定されていても、実際に物を手にとってみたい消費者はそれを受け入れるしか無いという構図が成立していました。しかし、インターネットで簡単に価格を比較できる昨今では、店舗で商品を見ても、購入はアマゾンでという方が少なくありません。またベストバイは自社ブランド品をメーカー製品と競争させるというショップブランド戦略(これは薬なども含め、ターゲットなどもよく行なっています)や、極端に遅い支払い制度は商品を納品するベンダー泣かせだと言われてきました。

ベストバイ
ロサンゼルス郊外のベストバイ

ベストバイは店舗閉鎖などのコスト削減策を打ち出していますが、本当に必要なのはビジネスモデル自体そのものの見直しなのかもしれませんね。そんな最中のCEO辞任劇は、株主だけでなく消費者の注目も大きく集めています。日本では依然家電量販店大手が合併を繰り返したりしながら、競争をしている背景がありますが、日米での生活慣習やネット習慣の違いなどを比較しつつ、日本ではどういう未来が待っているのかを推察してみるのもいいかも知れませんね。

世界を揺るがすTED Talk とは!?

皆さんは TED という言葉をご存知でしょうか?といっても、これは米大手航空会社ユナイテッド航空のニックネームではありません。(そちらもTEDなんですが)

TEDというのはTechnology Entertainment Design の略語で、それらをテーマにしたスピーチフォーラムです。TEDは非営利団体によって運営されていて、スピーチや会合を通して優秀なアイデアを世界に広め、啓蒙し人々をつなげる活動を行っています。運営しているThe Sapling Foundationの創設者はクリス・アンダーソン氏。

TEDの看板イベントであるTED Talkは毎年一回主にカリフォルニア州のロングビーチで開催されます。"Ideas Worth Spreading" (拡散するにふさわしいアイデア)というテーマをもとに、スピーカーが規定された短い時間(5〜18分)で質の高いプレゼンを行います。フォーマットは特に規定されておらず、エンターテイナーが出た場合は音楽を演奏したり、ダンスパフォーマンスなどを披露したりということもあります。
スピーチフォーラムと聞いてもピンと来ない方が多いかも知れませんが、これはただのスピーチというよりも視覚的・聴覚的な要素がかなり入ったプレゼンで聴衆も退屈することなく聴き入ることができます。

TEDのBrain Trust(相談役)にはGoogleの両創業者やアマゾンCEOのジェフ・ベゾスなども名を連ねており、過去のスピーカーにはスティーブジョブズやビルゲイツ、アル・ゴア、ボノ(U2)などといった世界的な著名人が含まれていて、彼らはTEDのビジョンとコンセプトに共鳴して、無償でステージに立ちます。

TEDのプレゼンはスピーカーのレベルもさることながら、その質が非常に高いことで有名です。これらは動画共有サイトのYouTubeでほぼすべて公開されていますので誰でも閲覧することができます。観客は数千ドルという高額の寄付をして、その席を得るのですから聴き入る姿勢も真剣そのものです。今年のTED Talkでは日本人としては初めて脳科学者の茂木健一郎氏がスピーチをして話題になりました。


TED公式サイト

TED 公式サイト
日本語に翻訳されたコンテンツは下記のリンクにまとめられています。
TED Talks in 日本語

実はこのTEDには本体のTED TALKとは別のTEDxという独立系のイベントがあります。これらはそれぞれ別のテーマで、独立して運営されるイベントです。本体のTED Talkに触発されて、世界中には数多くのTEDx系イベントが存在します。日本でも4年程前から、二人のアメリカ人のキュレーターによって、TEDxTOKYOというイベントが開催されてきています。私も2010年のTEDxTOKYOには聴衆として参席しました。今年のTEDxTOKYOは6月30日に開催されることがすでにアナウンスされています。

TEDxTOKYO公式サイト

最近では日本でも社会起業家やノマドワーカーという言葉が若者の間で浸透してきているようです。これまでは成功というとどうしてもお金持ちというイメージがつきまといましたが、最近では世界を変革しようとするビジョンを支える動きが大きいように思います。このような潮流を生み出した一つのムーブメントがこのTEDであり、TED関連のビデオはハーバードなどのアメリカ有名大学の授業よりも価値があると評価する向きも大きいほどです。
また聴衆も耳が肥えているので、ちょっとやそっとのプレゼンでは拍手喝采という状況にならず、最大級の賛辞とされているスタンディング・オベーション(総立ちの拍手喝采)を得られるスピーカーは稀で、最大の栄誉だとされています。

最近ではフェイスブックやグーグルの創業者、一昔前ではビル・ゲイツやスティーブジョブズといった大起業家が世界的な大成功を収めたのは、彼らに世界を変えようという強い動きがあったからだと思います。TEDによって、人々は崇高なビジョンが何であるのかということについて、何となく共通の理解を示してきているようです。逆に言えば、世界に進出するビジネスモデルを思い描こうとした際には、TEDのスピーカーに負けないような大きなビジョンをもっているものでないと難しくなっているのかも知れません。素晴らしい講演がいくつも上がっていますので、ぜひ一つか二つご覧になって頂きたいと思います。

<関連記事>
【すごいプレゼン】TEDを初めて見る人におすすめの10本

日本で躍進するHULUに学ぶ海外進出への勝機

 皆さんはHULU(*フールーと発音)というサービスをご存知でしょうか?

HULUはアメリカで大人気のインターネット動画視聴サービスです。
これまではネット上の動画視聴サービスや動画の共有サービスというと、とかく違法アップロードの温床になっていた感があります。実際、今年の1月にはファイル共有サービスでは大手のメガアップロード社が、FBIによってサービスと資産を差し押さえられてしまうという事態が発生し、アメリカのみならず世界中のネット関係者を驚かせました。理由は著作権違法違反です。(米史上最大級の著作権侵害摘発!FBIがMegaupload閉鎖、運営者8人を逮捕

メガアップロード
メガアップロードのトップページはFBIによって差し押さえられた

インターネットやデジタルメディアの普及により、広告収益は減少傾向にあり、テレビや映画などのコンテンツがネット上でも廉価、あるいは無料で見られるようになりました。私が小さい頃はVHSのビデオ一本で14800円とかしてたものですが、もうコンテンツにそんな値段を出す人はいませんね。

アメリカでもタブレット端末やスマートフォンなどの普及により、インターネット経由で動画を見たい人の数は飛躍的に増えています。これに対してREDBOXなどの自動販売機型レンタルビデオサービスが売上を伸ばしており、従来のブロックバスターのようなレンタルビデオ店舗は影を潜めています。

そんな中で業績をじわじわ伸ばしてきているのが、HULUです。HULUは立ち上げ当初から一貫して、正規ライセンスのあるコンテンツのみを提供してきました。競合サービスはJOOSTなどを含め、いくつかありましたが、結局市場競争を制したのは正規ライセンス作品と有料制にこだわったHULUだったのです。



HULU
HULUのトップページ

このHULUは昨年9月から日本にも上陸してきています。
最初の1ヶ月は無料、それ以降は1,480円で映画や米人気テレビ作品などが見放題となっています。日本での立ち上げ交渉はかなり時間がかかっていたようですが、最終的には日本がこれに参加したことで、海外の視聴者もHULUで日本の作品を視聴できるようになりました。

このHULUの素晴らしいとこらはマルチデバイス対応だというところです。
PCだけではなく、今日本でも普及の目覚しいスマートフォンやゲーム機、タブレットなどでもアカウントを共有して視聴することができます。好きな作品を手軽にどこでも見られる便利さは多くのユーザーを虜にしているようです。また海外作品を多く見ることができるということで、英語の学習にもなると喜んでいる人々もいます。


HULUのマルチデバイス対応
HULUのマルチデバイス対応

電子出版ではアマゾンがキンドルという電子ブックリーダーを出して話題になりました。アップルはアイフォーンやiPad、Apple TVという製品で多くのユーザーを世界的に囲い込んでいます。ソーシャルメディアの世界ではフェイスブックやYouTube(現在はグーグルの参加)が勢いを伸ばしています。日本の企業が一昔前のように、世界に進出していく例は最近影を潜めているような気がしてならず、海外に住んでいると何だか残念に思うことが多いのです。
扱っているものが製品であろうとサービスであろうと、それぞれの分野で成功している企業から何を学んでいけるかが、内需縮小の日本依存から脱却して世界で市場を獲得できていけるかのカギだと思う今日この頃です。

フェイスブック上場に見るアメリカ起業家のスケール感

 世界で8億人近いユーザーを抱えるとも言われているソーシャルネットワーク(SNS)の世界最大手であるフェイスブックが上場申請をしたことが話題になっています。
若き天才、のぞく野心 フェイスブック、上場申請(朝日新聞)

創業者のマーク・ザッカーバーグはまだ27歳。映画「ソーシャルネットワーク」でその起業にまつわるエピソードが紹介されているのをご存知の方も多いと思います。このザッカーバーグ氏は公開申請に際して、米証券取引委員会に書簡をしたためたそうです。その中にあるこのメッセージが読むものの心を打ちます。

「フェイスブックは、もともと『企業』になるためにつくったわけでない。世界をより開かれた、よりつながりの強いものにする社会的な使命を達成するために設立したのだ」

これは、フェイスブックだけに限ったことではないですが、北米ではIT関連のスタートアップ企業が乱立していて、VC(ベンチャー・キャピタル)などからの資金調達を競っていますが、アメリカのVCはよく「ビジョンに投資をする」と言われています。まだうら若きグーグルの創業者にポンと10万ドルの小切手を渡したエンジェル投資家の存在が、今や世界的大企業となったグーグルの誕生を支えました。よって、近年ではビジネスプランそのものよりも、その経営者がもつビジョンの大きさを競うような事態にも発展しています。ハーバード大学在籍時に立ち上げたサービスを世界一のものに成長させた、ザッカーバーグ氏のビジョンはやはり大きなものだったと言わざるを得ません。これはIT業界における成功の先駆者であるビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズらによっても、成功の王道として示されてきました。

ここで業績についても初めて公表されています。2011年の売上高は前年比2倍近い37億1100万ドル(約2950億円)、純利益は前年の1.6倍の10億ドル(約795億円)は堂々たるものです。時価総額は、1000億ドルとも推定されています。これは現在の為替レートでは日本では例えば一位のトヨタと二位のドコモの間に位置する規模になりますが、円安だったら一気に日本一の規模になる可能性すらあります。

最近は日本でも、IT系を中心にノマドと呼ばれる自由なワーキングスタイルで起業をして、世界進出を目論む若者も増えてきました。彼らはアメリカを行脚してエンジェルや投資家にあったり、テック系のイベントに参加するなどして盛んにビジネスチャンスをアピールしています。私もそんな若い日本人起業家のプレゼンに触れる機会が多くあります。残念ながらまだまだそのビジョンは世界規模のものとは言いがたい場合が多いですが、私が若かった頃とはまったく違うスキルとグローバル・マインドには驚嘆させられることがあります。

もちろんITに限らずとも、まだまだ世界を狙える日本企業は多いと思いますし、これから人口が減少して国内市場も縮小していく日本の企業にとっては、海外に活路を見出すことは死活問題に発展する可能性が十分にあります。
海外を目指す企業の皆さまには、ぜひともこのマーク・ザッカーバーグの手紙をご一読頂くことをオススメいたします。


伝記も人気です。



アメリカに進出する秋葉系文化(アニメ、コスプレ)

 日本に出張してくる度に、毎回顔を出したくなるのが秋葉原。昔は電気街というイメージが強かったですが、今やそういう色はかなり薄くなりましたね。時代に合わせてめまぐるしく変わっていく秋葉原の街を見ることで、流行に敏感な日本の社会の一端を垣間見ることができます。

今でこそアニメ色やアイドル色がかなり強くなりましたが、秋葉系文化といっても、ゲームやマンガ、フィギュア、そして次作系PCと幅は広いものです。この中でも日本発のコンテンツの代表格はアニメとマンガ。最近ではMANGAが英単語として受け入れられるほどで、書店にいっても大きなマンガのコーナーがあります。日本で人気のONE PIECE(ワンピース)などはアメリカでも人気ですし、それ以外に侍がでてくるようなコンテンツも人気があります。

【多くのコンベンションが開催】
アメリカでは実は日本人が思うよりもはるかに多くのアニメやマンガ系のコンベンションが開催されています。一度調査したみたことがあるのですが、その数は全米で年間優に数百あってびっくりしました。その中でもロサンゼルスのanime EXPO (レポートはこちら)やサンディエゴのComic-Con、そしてNYのNew York Anime Festivalは特に有名です。
これらをレポートするために、日本人の起業家が専用の雑誌まで発行していたほどです。
(これはPOPJNEOといい、今ではウェブ版での運用となっています)
派手なメイクアップや衣装で個性を出すビジュアル系バンドも人気のコンテンツの一つです。

POPJNEO表紙
POPJNEOの表紙を飾る色鮮やかなコスプレイヤーたち

【コスプレ事情】
今日はちょうどハロウィーンですし、コスプレの話にも触れてみましょう。
コスプレというのはどちらかというと海外から日本に持ち込まれたものですね。
ゲームも、ファイナルファンタジーのような日本製RPG(ロール・プレイング・ゲーム)の美しいキャラデザインは世界中で受け入れられており、コスプレにも取り入れられています。

親日家の多いフランスではコスプレをしてカラオケ(これも日本発の世界的文化ですね)をするような大イベントが開催されているのをご存知の方も多いかと思いますが、アメリカにもいよいよ日本スタイルのメイドカフェに近いものが登場したとして話題になりました。
それがRoyalTです。私が住んでいるところから車で30分ほどのカルバー・シティというところにできました。もともとメイドカフェというとアンナミラーズが有名でしたが、どちらかというと日本風で逆輸入されたという格好です。(アメリカには他にもフーターズのような派手なコスチュームを売り物にしているお店もいくつかあります)

ROYALt
日本風のメイドカフェがアメリカに逆輸入されて話題に!?


他にも禅や着物、寿司など日本の文化で世界的に受け入れられているものも多くあります。
我こそは、という日本独自の質のよい文化をお持ちの企業はぜひとも続けて海外市場に挑戦して頂きたいと思う次第です。







アメリカを変える日本の文化事情

東洋と西洋という言葉でもわかるように、この二つの文化は両極端です。ビジネスで、東から西へ、あるいは西から東へと展開する際にはこの違いの意味というものをどれだけ理解できるかがカギだと思います。

しかし、これはお互いの文化がいつまでも相入れないというのとは違います。私が最初にアメリカに渡ったのはまだ19歳の時でしたが、それからアメリカにも多くの変化がありました。東洋の文化の中でも、特に影響を与えたのは世界第二位の経済大国という地位を築いた日本でした。例えば一昔前は日本製というと粗悪品のイメージが強かったのですが、しばらくしてそれは撤廃されます。トヨタやホンダ、ソニーといったモノづくりだけではなく、スシや豆腐、酒といった食製品にも大きな影響を及ぼしました。

今では韓国製や中国製におされつつある日本のメーカーですが、最近文化的に見直されている部分があります。それはエコ、つまり環境負荷の良い製品です。トヨタが誇るハイブリッドカーのプリウスはその代表的な例であることは疑う余地もないですが、それ以外に注目されつつある例を二つほどご紹介します。

一つは瞬間湯沸かし器、そしてとう一つはウォシュレット(温水洗浄便座)です。共に日本ではすっかりお馴染みのコンセプト製品ですが、アメリカで普及の兆しを見せているのは実はつい最近のことなのです。

【アメリカのプチ断水事情】
日本でもワンルームマンションや安めのビジネスホテルなどではユニットバスがあり、風呂とトイレが一緒になっているところがありますが、一般の家屋では別々になっているのはご存知の通り。ところがアメリカでは、依然バスとトイレは一緒にあるのが一般的です。バスタブに浸かるのではなく、シャワーが一般的なアメリカでは、風呂場はゆったりする場ではないのかも知れません。

日本人はアメリカにいても、日本と同じように湯船に浸かってゆっくり休みたいと考えるものですが、家族が多い場合は大きな問題に直面します。それはボイラーのお湯がなくなってしまうことです。アメリカの浴槽は背が低く、縦長な形をしているのでお湯が冷めやすくなっています。またもちろん追い焚きなんてできないので、日本のようにお湯を共有することができません。だから必然的に、お湯は毎回張り替えることになるのですが、そんな時にトラブルが起こります。ボイラーのお湯がなくなってしまうのです。

RINNAI社HPより
                                                 RINNAI社HPより

そうするとしばらくはぬるま湯か水しかでなくなります。日本ではまずお湯が出なくなるなんてことはないですが、アメリカではこれがしょっちゅう起こるので、我が家でも時間帯をうまく分散させるように工夫しています。そこに目をつけた日本の瞬間湯沸かし器メーカーが、日本人の住む高級住宅地を目がけて営業をしたところ、好評でこれが現地の米国人にも拡がってきています。海外からの進出ではよく文化を変える必要のあるものはタブーとされていますが、これは逆転をいうと当たればその分チャンスが大きいということです。アメリカではTankless Water Heater(タンク無しの温水器)という名称が用いられています。商品のコンセプトが一瞬でわかりますね。

【ウォシュレットの挑戦】
同じ例にウォシュレットがあります。日本ではすっかりお馴染みになったウォシュレットですが、アメリカでは普及がなかなか進みませんでした。しかし、最近ボーイング社の最新鋭の旅客機787に搭載されたり、一部の高級ホテルで導入されたりするなど、少しずつ人気の兆しが見えてきています。ウォシュレットは環境負荷も低く、一度使えば気に入る方も多いので、今後はアメリカの多くの場所で導入が進んでいきそうな気がしています。マドンナやレオナルド・ディカプリオといったハリウッドのセレブリティが日本でウォシュレットを利用してみて感動したというエピソードもあります。実はこのウォシュレット、もともとはアメリカで介護向けに開発されたものだったということはあまり知られていません。

私も一度この件について調査をしたことがあるのですが、実は導入を阻んでいたものは利用者とはまったく関係のない事情だったということを知りました。この手の製品は一般家屋よりも高級ホテルなどで導入がまずなされ、一般家屋に浸透することが多いと思うのですが、ウォシュレットを導入するのに一番の足かせとなっていたのは稼働するのに必要な電源だったのです。客室数百室という大きなホテルで、わざわざウォシュレットを導入するために便器周りにコンセントを追加するのには大きなコストがかかるのはご理解頂けると思います。
しかし、新しいホテルを建設する際には最初からそれを想定して準備することができます。

ウォシュレットが導入されているホテルの事例としてはハワイのロイヤル・ハワイアンやザ・カハラ、グアムのホテルニッコーなどが有名ですが、本土でもニューヨークのキタノ・ホテルや最近ロサンゼルスにオープンしたミヤコ・ハイブリッドホテルなどがあります。そして、いよいよ高級ホテルのメッカであるラスベガスでも、アリアという人気ホテルが導入したことで話題になりました。

 
                       アリアホテルに設置された例

文化の違う海外への売り込みというと、アフリカに靴を売り込みに行ったセールスマンが、誰も靴を履いていないのを見てショックを受けたが、もう一人は途方も無い潜在市場だと歓喜したという話がよく例に挙げられます。上記の二例は長い時間をかけて、徐々に浸透しようとしているものですが、一度動き出したら市場は拡大するのみ。本当によい製品であれば、どこの市場でも売れるという位の自信と投資が必要なのかも知れません。


*ウォシュレットはTOTOの登録商標です。




日米電源事情 〜損して得取れ?〜

 10月14日に世界同時発売されたアップル社のiPhone4Sは創業者のスティーブ・ジョブズ氏が今月亡くなったことも受けて、世界で400万台を売り上げる(日本でも100万台と報道)という大人気です。
iPhone 4Sは3日で400万台販売、iPhone 4の2倍以上(日本経済新聞)

iPhone4S
米アップル社のウェブサイトより

日本でもソフトバンクに加えてAUから発売され、日本全体でiPhoneのようなスマートフォン(多機能携帯端末)が大ブームになっています。アプリが使えたり、ソーシャルゲームができたり、動画が見れたりと充実した機能が売りですが、頭が痛いのは充電。私のように出張が多い人間は昔からモバイラーと呼ばれていましたが、携行する端末がどんどん増えていくので一緒に充電器なども増え荷物がどんどんかさばっていくのに悩むことがあります。

例えば、私の場合、下記のようなものを毎回持ち歩くことになります。
米国用携帯電話x2
日本用携帯電話
ノートPC
電子書籍端末(Kindleなど)
WiMAX端末(国内接続用)
(子供と旅行する際にはこれ以外にもMP3プレイヤーや携帯ゲーム機なんかも増えます)

インターネットは世の中を便利にしましたが、それと同時に人々は電気がないと日常生活に支障をきたすようになってしまったというのは何とも皮肉なものです。
特に飛行機に乗るような長距離の出張では、待ち時間を持て余すこともあり、その間に仕事ができないことはビジネスマンにとっては死活問題。空港のラウンジが利用できるようなステータスをもっている方はいいですが、そうじゃない方はゲート付近で電源を探します。

そんな現象に目をつけたのが韓国のサムスン電子。今や米国の空港では下記のような充電スタンドがあちこちに配置してあり、旅行者を助けています。サムスン側は電源を提供することで広告スペースを獲得しており、利用者、空港、そして広告主側の三方にメリットがあるようになっています。


充電器に群がる利用者


新製品のディスプレイとしても活躍 認知度向上?

日本では震災の影響もあり、節電モードが続いているのでこのような企業活動はネガティブな印象を生むかも知れませんが、個人の消費電力がインターネットと携帯端末の増加によってどんどん増えていっているのは日本でもアメリカでも変わりありません。
最近は不況で消費が増えこんでいるのですが、トヨタのハイブリッド車が世界的大成功を収めていたり、太陽電池が注目を集めているように、電気関連のグッズでは新製品がたくさんでてきています。

ケーブルではなく、マットの上に置くだけで充電できるPOWERMAT製品もよく売れています。

置くだけ充電

この視点で日米の街並みを眺める時に感じる大きな違いは喫茶店での電力事情です。
アメリカ最大手のスターバックスコーヒーでは、学生やフリーランスの方が勉強や仕事の場として利用することを熟知していて、積極的にそれをサポートしています。具体的には、無料でWiFi(無線インターネット)を供給したり、作業しやすいテーブルを増やしたり、可能な限り電力を供給できるようにコンセントの数を増やしたりという感じです。ソファー席のところには足元にコンセントが配置してあり、遠くからケーブルを引き回すことで他のお客さんがつまづいたりするトラブルを防ぐような配慮もなされているのには驚きです。しかし、最近は不況のせいで、ホームレスが席を陣取ってインターネットに興じるという風景を見ることもあり、無制限な利用が本当にいいものかどうかと考えることもあります。


スターバックスは弱者の味方!?

一方日本では、回転を重視するということもあり電気をお客さんに使わせることはまだまだ奨励されていないようです。もちろん日本の都会での生活は忙しいものなので、訪問客もそんなに時間を過ごせないと思うし、混雑時には他のお客さんの邪魔にもなってしまうので、工夫がいるとは思いますが、スマートフォンや電子端末の普及と電力に、ちょっとしたビジネスチャンスが潜んでいるのかも知れませんね。最近では東海道新幹線「のぞみ」で座席の横に電源がついていたり、インターネットサービスを始めたりと工夫をしているのは米スターバックスの姿勢に通じるのかも知れません。

「損して得取れ」という戦略が通用するところがあるような気がします。






アメリカでのメガネ購入事情

子供の頃から「本の虫」と呼ばれるくらい本を読むのが大好きでした。
そのせいかどうか、視力が中学生くらいからどんどん下がりました。家の中ではあまり苦労せず、むしろ本を読む時なんかは都合がいいくらいの近視なのですが、車の運転が欠かせないロサンゼルスではさすがに外出時にメガネがないと困ります。

私は仕事柄アメリカと日本をよく往復するのですが、ある時出張からの帰国間際にこの大事なメガネが壊れてしまいました。何とかテープで止めていたのですが、さすがに格好悪いので何とかしないとと思っていたら空港にメガネ屋さんがあり、急ぎで15分ほどでメガネを新調することができてビックリしました。

ご存知のように日本や韓国では格安メガネ店が多くあります。セットで5000円以下、しかもその日のうちの受け取りが当たり前になっています。しかし、アメリカでメガネを買うのはそうそう簡単なことではないことをご存じでしょうか。

先日も新たに日本でメガネを新調したのですが、日本の大手チェーン店では過去の処方箋などを保存しており、望めばそのままの処方箋で短時間に作成してもらえるというのにも驚きました。

アメリカではメガネ屋大手チェーンに Lens Crafters(レンズ・クラフターズ)が有名ですが、それ以外にもウォルマートやターゲットなどの大手スーパーやCostco(コストコ)のような会員制ディスカウントクラブでも購入できます。もちろんショッピングモールにいけば、大小の個別のメガネ屋さんもたくさんあります。


WALMART内のメガネ屋


中でも Costco の メガネ屋 さんは有名です。では何が難しいかというと、システムの違いです。アメリカではメガネ屋さんには通常 Optometrist(検眼士)という方がそれぞれのお店で働いています。彼らは視力検査だけをする人で、Ophthalmologist (眼科医)とは異なり薬の処方、手術などはできません。メガネを購入する度には毎回この検眼士の検査がひつようになります。(また、アメリカと日本では視力の度数表示方式が違うのも難点だったりします)


Optometrist の看板 メガネの視力検査は58ドルとなっている


メガネはそれほど頻繁に購入するものではありませんし、買う店が同じとは限りませんから結果的にほぼ毎回視力検査を受けることになります。この検査には大体30〜45分ほどかかります。ところが大抵のお店にはこの検眼士が一人しか常勤していません。なので、一日に検査できる人が限られており、事前にアポイントメントを入れることが必要となります。

先ほど挙げた Costco で売られているメガネは安くて質が良いと評判ですが、それだけにお客さんも多く、この検眼士とのアポを取るのに2週間から1ヶ月かかってしまうという状況があります。しかも、せっかく検査を受けても、そこで気に入ったメガネとフレームを見つけて注文してから出来上がる前にまた1週間から2週間かかってしまうこともあります。

メガネの価格も日本よりは遙かに高く、レンズ、フレーム、色、などを調整しているといつの間にか検査費も含めて数百ドルになってしまうこともしばしば。アメリカの企業ではベネフィットといって医療保険などの福利厚生プランを社員に提供しますが、その中にビジョンという視力関連のプランも含まれています。このような保険をもっている人はいいですが、そうでなければ負担が大きくなり、買うことをついついためらう人も多いのではないでしょうか。

数千円でしかも簡単に購入できる日本や韓国のメガネ屋さんをうらやましいと思っているアメリカ在住のアジア人は多いに違いありません。もちろん法的規制などもあるのでしょうが、一つのビジネスチャンスのように見えることがしばしばです。

アメリカのDIY(Do It Yourself)文化

今ではノートPCやDELL社製のパソコンの隆盛でやや廃れてしまった感がありますが、 日本でも一昔前に秋葉原の「自作」PC文化というのが流行したのを覚えている方も多いかと思います。この自作はアメリカの「DIY」(Do it yourself)という言葉を和訳したものです。

一般的にはパソコンはヤマダ電機やヨドバシカメラといった大手の家電量販店ですでに出来上がっているものを購入しますが、秋葉原のマニアはそうではなく、マザーボードやビデオカード、CPUクーラーに電源といったパーツを個別に買ってきて自分たちで組み立てます。自動車マニアの方でも同じように「カスタマイズ」をする方は多いと思いますが、さすがに自分で車そのものを組み立てるということはしません。パソコンそのものを組み立てるということは普通の人からすると想像もつきませんよね。

日本人と比較するとアメリカ人はこの「自作」が大好きなようです。それはやはり「個性」を重んじる風潮が影響しているのだと思います。

例えば、ファミリーレストランでの朝食の風景でも老夫婦が朝食のメニューにあれやこれやと注文をつけるのを見て驚いたことがあります。やれ卵はこういう風にして欲しいとか、ベーコンは要らないから違うのに替えてくれとか、サラダにはこれが必要ないとか。。。アメリカのチップの風習というのはこういう厄介な対応をすることに対する報酬なのかも知れませんね。

このDIY文化での代表的なものはアメリカ人にとって最も重要なものの一つであるマイホームです。日本のそれに比べるとアメリカの家屋の造りは質素というか短調で簡易的なものに見えます。しかし、それは逆にいうと実際に住む住人が簡単に改造できるようにという思惑があるということも言えます。費用節約のために大工さんに頼まず、住人がちょっとした改修するという光景もよく見かけます。
このような文化は必然的に商業的な需要をもたらします。そこでみんなが利用するお店の代表的なものが「HOME DEPOT」(ホーム・デポ)です。バカでかい敷地に所狭しと工具やらネジやら、あるいはフローリングにカーテン、照明や植物に肥料にいたるまで、ありとあらゆるものが置いてあります。もちろん、一般人だけではなく、大工さんたちも訪れます。

HOMEDEPOT店内
ホームデポの店内にはところ狭しとDIYホーム用の製品が並ぶ

これを見るたびに本当にアメリカ人はDIYが好きなのだなぁと思っているのですが、これは飲食店でも同じようなものがあります。日本にも進出しておなじみのサブウェイではサンドイッチのパンや具、調味料を自由にカスタマイズして自分向けの一品を作ることができます。

最近アメリカで流行り始めているのがカスタムバーガー屋さんの「COUNTER」です。このお店では、なんとハンバーガーをかなり細かく注文して自分だけのハンバーガーを作ることができるのです。もちろんお客さんは注文するだけで、実際に作るのはお店の人なのですがここにもDIYを好む風景が感じられますね。(そういう点では実際に自分でつくるお好み焼きはアメリカで流行る可能性があるのかも知れません。自分で調理したいかどうかは別ですが)このお店の売りはそれだけだはなく、素材にもあります。

COUNTER 店舗
COUNTERの店舗 (カリフォルニア州 スタジオシティ)

COUNTER
オーダーシート 細かいメニューでお好みのハンバーガーを!

COUNTERは西海岸発。まずカリフォルニアに20店舗以上、それからコネチカット、フロリダ、ハワイ、テキサス、そしてニューヨークと東海岸にもどんどん展開しています。海外ではアイルランドに二店舗オープンしました。

COUNTER
出来上がり例 見事ですね

このような文化はヨーロッパではまた少し違うように思いますが、アメリカに進出することを検討されている企業の方には知っておいて頂きたい文化です。実際に海外にビジネスを持ち込む際には現地の文化や風習に合わせて製品やサービスを「カスタマイズ」することをお忘れなく!


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